映画を観ようと思って、Amazonプライムビデオのウォッチリストを上から順に目で追うと、ドラえもんの映画を見つけました。
私のウォッチリストには2種類のパターンがあって、一つはまだ観たことのないものと、もう一つは観たことのあるお気に入りのものです。
この場合、『のび太の太陽王伝説』は後者にあたるので、私はすでにこの物語を知っています。
なのになぜ大人になった今、太陽王伝説を観る必要があるのでしょうか?
子どもの頃の理想と現実
子どもの頃はなぜか漠然と、大人は定年まで同じ職場で仕事して、漫画やアニメやゲームなんか見なくなって、毎日新聞を読まなくちゃいけないような気がしていました。
実際は新卒で入った仕事は転職したし、漫画やアニメやゲームは今でも大好きだし、そもそも新聞は取っていないです。
だから結局、大人になっても変わらず、子供の頃に好きだった太陽王伝説を何度も観てしまうのかもしれません。
太陽王伝説は、旧ドラえもん映画の中でも、少し特殊な物語だと思います。
まず、主人公が二人いること。そして冒険やアクションの要素が薄いこと。その代わりに、キャラクター達の心がとても身近に感じられること。
だから私は、この太陽王伝説が大好きです。
ドラえもんっぽくない映画
旧ドラえもん映画は、特に80年代のものが好きで、子供の頃は繰り返しよく観ていました。
『海底鬼岩城』や『魔界大冒険』など、非日常の場所でワクワクするような冒険がメインで楽しかったです。
太陽王伝説では、古代のマヤナ国というところに偶然タイムワープしてしまうのですが、マヤナ国自体はそんなにワクワクする場所ではないように思います。
単純に、私が古代文明に興味がないだけかもしれないけれど、古代都市はあまり子供が憧れるような土地ではないのかもしれない。
それでもやっぱり、私が太陽王伝説のことを好きな理由は、キャラクター達がしっかりとそこに生きていて、心があるからだと思います。
のび太のキャラクター性
この映画の中で一番印象的なシーンは、のび太が王子のフリをして、街に出かけて行くところです。
遊んでいる子ども達に、「何してるの?」と気軽に声をかけて一緒に遊ぶ。そんななんでもないシーンなのに、なぜかその場面が心に残っているのです。
旧ドラえもんの、特に後期作品ののび太は、全く毒のない優しい人間として描かれていることが多いです。
しかし初期の映画や原作などでは、そこまで毒のない人間ではなかったように思います。
だからこそ、この映画の彼は聖人君子のようにも思えるのです。
彼は「のび太」という名前が同じだけの、全くの別人だと思います。ですが私は、そんなのび太のことも好きです。
もしかしたら作品と一緒に、のび太も成長しているのかもしれません。
だからこそこの映画では、別の人間の成長が描かれています。それがマヤナ国の王子・ティオです。
ティオは傲慢な王なのか?
子どもの頃、ティオは傲慢で冷たい人間のように思っていました。
この物語は、そんなティオとのび太の二人が主人公となって、進んでいきます。
そして彼は、のび太たちと出会うことによって心を取り戻し、勇敢な王になれたのだと、なんとなくそんな風に考えていました。
でも、大人になって改めてこの物語を見返すと、ティオはただ不器用でまっすぐな優しい子どもなんだと感じられました。
ティオは、自分に仕えるヒロインの少女・ククに、厳しく冷たく接します。
でも、物語の中盤でククが敵であるレディナに連れ攫われた時、ティオは彼女を救い出そうと、一人で敵地へと乗り込みます。
このティオの矛盾した行動は、あの頃では理解出来なかったけど、今ならよくわかります。
ティオは、のび太と同じ優しさを、最初から持っていたのです。
ただ彼は、それを表に出すことができなかった。なぜならティオは、国を守る王になるべき存在だからです。
大人になったからこそ
大人になると、人の心を感じられる瞬間が、ずっと少なくなったことに気づきます。
社交辞令やお世辞のやりとり。耳を塞ぎたくなるような嘘と噂話の数々。
そんなものに囲まれていると、だんだんと人の本心がわからなくなってきます。
でも、そんな時にこの太陽王伝説を観ると、私にもこんな心があったんだと思い出せることが、とても嬉しく感じました。
主題歌の『この星のどこかで』を聴くと、なぜだか意味もなく泣けてきます。
忘れていた、大事な記憶。
それを思い出すために、私はこの映画を観ているのかもしれません。
やっぱり何度観ても面白いです。のび太もティオもかっこいい。主題歌の『この星のどこかで』を聴くと泣けます。
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