『らすたぁちゃんとあそぼ』というタイトルを聞いて、一体どれほどの方がピンとくるのでしょうか?
私が「子供の頃に遊んだゲームは?」と聞かれてまず挙げる作品は、間違いなくこの『らすたぁちゃんとあそぼ』です。
今日はそんな、少し黄ばんでいて、ものすごく大きなモニターのデスクトップ型PCで遊んだ、子供向け知育ゲームの思い出話をします。
“電子絵本”のゲーム
父親がPCを触るのが好きで、物心ついた時から家にマッキントッシュがありました。
そして絵本を読むのが好きだった私は、自然とゲームの中の電子絵本に夢中になりました。
友達がレゴブロックやシルバニアファミリーで遊んでいるように、私は『らすたぁちゃんとあそぼ』や『おばあちゃんとぼくと』を遊んでいたのです。
『おばあちゃんとぼくと』は、マーサーメイヤー氏の絵本が原作なので知っている方も多いと思われますが、『らすたぁちゃんとあそぼ』は完全オリジナル作品です。
らすたぁちゃん公式HP(carax )がまだ生きているので、知らない方はぜひ公式ページを見てみてください。
…見ましたか?
あの頃のインターネットがそのまま残っているぞ…!?
公式ページを見るのが面倒な方は、このデモ映像のサムネだけでもご覧ください。
ペ…ペイントツールで描いたのかこれは!?
何とも言えない味のあるイラストに、気の抜けるキャラクターの声、そしてチープなベタ打ちのフォント…
大人になった今、改めて見返すと、とてもクオリティの高いゲームとは言えません。
でも、あの頃の私にとっては、間違いなく素晴らしいゲームでした。
どんなゲームなの?
『らすたぁちゃんとあそぼ』の内容は、主人公のらすたぁちゃんになって、家や町を探索するという至ってシンプルなゲームです。
名前の由来は恐らくラスターデータだと思うんだけど、今考えるとすごい名前だよね。でも当時は何の疑問もなく遊んでいました。
知育ゲームなので、かんたんな平仮名の書き取りができたり、お金の計算ができるミニゲームなどが遊べるだけです。
ではなぜ、このゲームは私にとって特別なのでしょうか?
なぜならそこには、何とも言えない“ゆるさ”があったのです。
例えば、お母さんから貰ったお使いのお金の残りで、らすたぁちゃんがこっそりたこ焼きを買えたりします。
ケーキ屋さんを覗いてみると、友達がシュークリームを落とす場面を目撃したりもできます。
しかしどちらもゲームには全く必要のない、意味のないワンシーンです。
でも私は、このシーンが『らすたぁちゃんとあそぼ』の中で一番大好きでした。
きっと私は、『らすたぁちゃんとあそぼ』の、きっちりしてないところが好きだったんだと思います。
だから真っ直ぐじゃないキャラクターの線も、変な名前も、気の抜ける声やBGMも、全部が心地良かった。
どこまでも優しい世界と、どこまでも寛容なゲームに、私は癒されていたのです。
らすたぁちゃんとの思い出
大人はいつだって過去を美化するし、懐古主義なんて言葉もあるけれど、やっぱりあの頃私が触れたゲームが一番良かったなと思います。
もちろん今もAPEXみたいなゲームにハマってるし好きだけれど、あの頃みたいなゲームはもうこの世に出ないような気がします。
探せばあるのかもしれないけれど、そうじゃなくて…簡単に「クソゲーだ!」と片付けないような社会も含んだゲームというか…
ゲームだけじゃなくて、ネットも社会も緩かった気がします。気がするだけで思い違いかもしれないし、別にどっちが良い悪いとかじゃないけれどね。
今は昔よりも、きっちりしてないと叩かれちゃったり、怒られちゃったりするような息苦しさがあるような気がします。
でももしかしたら、それは社会じゃなくて自分が変わってしまったせいなのかもしれません。
あの時はゲームの粗を探すんじゃなくて、良いところを探して、純粋に楽しんでいたから。
動物園の真っ白なアイスクリームに、絵を描いたりするミニゲームが好きでした。
リビングのビデオデッキを見ると、お父さんの撮ったお花見の映像にスタンプを押せるのが好きでした。
らすたぁちゃんの自室のノートで、お友達の着せ替え遊びをするのが好きでした。
だから私は時々、あの頃を懐かしんで、『らすたぁちゃんとあそぼ』に想いを馳せます。
このゲームで遊べたことは、とても大切な経験だと思います。もちろんスーファミやプレステにも良い思い出があるけれど、これは特別。
でも一番忘れちゃいけないのは、あの頃の自分の気持ちだと思います。
どうかその気持ちを忘れずに、これからも生きていけますように。
忘れないように、ここにしっかりと書いておきます。これは自分への健忘録です。
画面の色々なところをクリックして遊べるゲームです。子どもはいないけど、いたら遊ばせてあげたいなぁと思います。
これも名作だと思います。触って遊べる楽しい電子絵本です。ホットドックを落とすシーンが一番好きでした。